川越の蔵造りの街並みといえば、食べ歩きを楽しむ人で賑わう観光スポット。
定番の芋菓子や話題のグルメも良いですが、酒蔵のこだわりが詰まった「日本酒」をじっくり味わう大人の旅はいかがでしょう？
今回は、小江戸の伝統を引き継いだ酒蔵「小江戸鏡山酒造」をご紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
地酒「鏡山」を復刻！小江戸鏡山酒造とは？
蔵造りの街並みでお馴染みの川越ですが、現在残る「酒蔵」は1軒のみ。その唯一の酒蔵が銘酒「鏡山」を手掛ける「小江戸鏡山酒造」です。
実は鏡山の歴史は古く、生まれたのは明治8年のこと。しかし鏡山を造っていた会社が2000年に廃業してしまいます。
一度は蔵の街川越から酒蔵が姿を消す事態となりましたが、地元の若者を中心に再興を望む声が多くあがり、2007年に見事復活を果たしました。
銘酒鏡山は今や「全国新酒鑑評会」で金賞に輝くなど、川越の地酒としてさらに磨きをかけて復刻したのです。
小江戸鏡山酒造のこだわりと挑戦
小江戸鏡山酒造が醸造を行うのは、テニスコート1面程のコンパクトなスペース。秩父山系の伏流水を仕込み水に、わずか6本のタンクを使い、品質を重視した少量仕込みの酒造りをしています。
また、できる限り機械は使わず、1つ1つの工程を手作業で行っているのもこだわりのひとつ。
例えばこちらの斗瓶取り雫酒は、醪から生酒を搾る「上槽」という工程に手間暇かけた一品です。
今はほとんどの酒蔵が機械で圧力をかけて搾るそうですが、小江戸鏡山酒造で使われるのは酒袋と呼ばれる布の袋。斗瓶取り雫酒は醪を袋に入れて吊るし、重力でポタポタと雫になったお酒をじっくり瓶に集める「袋吊り搾り」で上槽しています。
無理な圧力がかからないため、抽出されたお酒は雑味がなくまろやか。小規模な酒蔵だからこそ、手間ひまかけた美味しいお酒が造れるのだそうです。
また、鏡山がほかの日本酒と一線を画すのは、埼玉で初めて作られた酒造好適米「さけ武蔵」をメインとした酒造りをしていること。
お米農家さんと協力し、日本酒に合うよう改良を重ねた酒米です。
2019年には、さけ武蔵で仕込んだ日本酒では初めて「全国新酒鑑評会」で金賞を受賞。
ほかにも「Made in SAITAMA優良加工食品大賞2023」で酒類では初となる優秀賞を受賞するなど、長年の研究が実を結び、多くの方に支持されるお酒になりました。
さけ武蔵を使用した世界初の大吟醸「さけ武蔵大吟醸」は、優雅で華やかな香りとキレのある飲み口が特徴です。
埼玉のお米を使った本物の地酒の味、ぜひ確かめてみてくださいね。
情緒あふれる「小江戸蔵里」で鏡山を飲み比べ！
そんな鏡山の試飲が楽しめると聞きつけて、同じく川越にあるアンテナショップ「小江戸蔵里」に訪れました。
本川越駅から徒歩3分ほどの場所にある白壁の蔵は、もともと旧鏡山酒造の跡地だったというから驚き。
広々とした敷地内には建てられた時期から「明治蔵」「大正蔵」「昭和蔵」の3つがあり、蔵の中では川越のお土産を選んだり、地元の食材を使ったお食事も楽しめます。
明治蔵には、様々な種類の鏡山がずらり。
試飲は1杯400円～600円。季節限定のお酒や高級大吟醸など、10種類ほどの中から選んで飲み比べができます。
今回は蔵里限定の文字に惹かれて「純米 スパークリング」をいただくことに。
こちらは樽に入れた日本酒にガスを注入しており、瓶などに移すとガスが抜けてしまうので樽のままでしか飲めないのだそう。小江戸蔵里でしか飲めない、レアな1杯です。
スパークリングなので口当たりがよく、グイグイ飲んでしまう美味しさでした！
ワンコインほどで手軽に試せるので、日本酒初心者の方もぜひお気に入りの一杯を探してみてくださいね。
そのほか、川越一番街商店街にある「河越酒店」でも鏡山の購入や有料の試飲ができます。
すぐ裏手には川越のシンボルである「時の鐘」がそびえており、観光と合わせてお酒を楽しむ大人旅にぴったりです。
小江戸鏡山酒造が紡ぐ新たな歴史に注目
歴史を受け継ぎながら、今の時代にあわせた新しい日本酒を生み出す小江戸鏡山酒造。
地元の人々の思いと技術が集結した鏡山の味わいを、そのストーリーとともにぜひ堪能してみてくださいね。
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