中仙道には、江戸時代に整備された宿場町が69箇所もあります。
埼玉にも宿場町は残っており、江戸の風情に想いを馳せることができますよ。史跡をまわりながら、カフェで休憩なんて休日も過ごせます。
今回は、日本橋から5つ目の宿場町、上尾宿を紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
上尾宿の歴史
北条氏の支配下で戦国時代には既に宿駅(しゅくえき)として成立していた上尾。江戸時代には主要な街道として、米の積み出しの拠点となり賑わっていました。
上尾宿は日本橋から近く旅籠屋(はたごや)が多いのが特徴。江戸から40キロと当時の旅人が1日に歩く距離に近かったため、早朝に日本橋から出発すると上尾宿に到着したところで夕暮れとなり最初の宿を探すことになるからです。
たくさんの旅人を癒してきた上尾宿ですが、過去幾度もの火事に見舞われており残念ながら多くの歴史的建造物を焼失しています。
現在では、大部分が新たな地名となった上尾宿ですが、1部の地域には地名が残っており、現在はベットタウンになっています。
上尾宿ぶらり旅におすすめの場所
たくさんの歴史的建造物を火事でなくした上尾宿ですが、現在でも歴史を感じられる史跡(しせき)は、まだまだあります。
ここからは、上尾宿の歴史を感じながら当時の旅人気分を味わえるおすすめスポットを紹介していきます。
中山道上尾宿の総鎮守 氷川鍬(ひかわくわ)神社
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氷川鍬神社は、上尾駅東口から徒歩3分に位置する上尾宿の総鎮守です。真っ赤な朱色の本堂がとっても綺麗ですね。地元では「おくわさま」の名称で地域の住民に親しまれていますよ。
鍬(くわ)2本がご神体という珍しい神社で、その由来は寛永8年にまで遡ります。桶川宿の方から台車に櫃(ひつ)を載せ、踊りながら運んできた童子たち。
正月になりちょうど上尾宿の本陣(役人の宿泊施設)の前で台車が動かなくなってしまいます。童子たちはいつの間にか消えてしまい、上尾宿の住民が櫃を開けてみると中には鍬が2本と稲穂が十数本入っていたそうです。
そこで当時の住民たちが、この鍬を神体として祀り社(やしろ)を建立したのが、現在の氷川鍬神社の始まりです。
主祭神に豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)や菅原道真公(すがわらのみちざねこう)をお祀りしており、五穀豊穣、学業成就などさまざまなのご利益がありますよ。
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近年人気の朱印も500円で購入可能です。明暗のメリハリと鮮やかな朱色がかっこいいですね。
駅からも近いため、旅のスタート地点にはピッタリの場所です。
上尾身代り拭い不動尊 遍照院(へんじょういん)
上尾身代り拭い不動尊 遍照院は、上尾市内で最大級のお寺です。大聖不動明王を御本尊として信仰し、江戸時代には領地として20万石の石高を与えられています。
境内には、上尾宿の歴史を感じさせてくれる史跡がいくつかあり、その中でも【孝女お玉の墓】は有名です。
お玉は新潟の貧しい家に生まれ、親の生活を楽にするために、わずか11歳で上尾宿の大村楼に身を売りました。生まれつき美しかったお玉は、その気立ての良さもあり、大変評判となりましたが病に倒れ20歳の若さでこの世をさってしまったのです。
お玉は病に倒れた後も、懸命に働いていました。その姿を見て心を打たれた大村楼の主人が、お玉のことを手厚く葬った場所が【孝女お玉の墓】です。
貧しい暮らしの中でも、ひたむきに頑張るお玉の姿に思いを馳せると少し切ない気持ちになりますね。遍照院を訪れた際には、ぜひお玉に手を合わせてみてください。
脇本陣井上家の鬼瓦
中山道沿いの駐車場に目をやると、井上五郎右衛門家が代々務めた脇本陣の鬼瓦を見ることができます。脇本陣井上家の鬼瓦は、当時の姿をそのまま大きな塀の一部に残しています。
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複雑な模様から当時の瓦職人の技術の高さを感じますね。鬼瓦は、単なる装飾に見えるかもしれませんが、厄除けの役割があるとされています。
井上家の鬼瓦は時代が変わった今でも、中山道を睨み往来する人々の安全を見守り続けてくれているんですね。
おしゃれ工房新井屋の看板下に鍾馗様(しょうきさま)
おしゃれ工房新井家を訪れれば、鍾馗様に会えますよ。
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鋭い眼光で中山道を見つめる姿がなんとも頼もしいです。鬼よりも強いとされる鍾馗様が看板の下にいるのには理由があります。
上尾宿は、幕末から明治初期にかけて3回も大きな火事に襲われました。
この「上尾大火」の経験から、厄除けと火災除けのために鬼よりもさらに強い鍾馗様に宿場町を見守ってもらっているんです。
元々は脇本陣細井家の鬼瓦でしたが、明治35年に新井屋が屋敷ごと引き継ぎました。
その後、大切に保管されていましたが中山道拡張に伴い、再び上尾宿を見守る存在となったのです。
かつては、中山道を通る観光バスが徐行して鍾馗様の説明をしていたという逸話が残るほど、立派な像。上尾宿を訪れた際には、一目見て損はありませんよ。
上尾のいちおし人気店!ランチにおすすめのお店
上尾宿には、史跡回りをしながら休憩できる場所もちゃんとあります。古(いにしえ)の時代に思いを巡らせて、お腹が空いてきたら少し休憩しましょう。
ここからは、上尾宿で美味しいランチが楽しめるお店を3つ紹介します。
北西酒造の代表銘柄「文楽」と手打ち蕎麦が楽しめる【文楽 東蔵】
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文楽 東蔵は、美味しい日本酒と蕎麦を堪能できる人気店です。明治27年創業の老舗酒蔵「北西酒造」と一品料理の店「東蔵」が共同で2008年に開業しました。
都内から足を運ぶ方も多く、味の評判は折り紙付きですよ。
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石臼で挽いているので風味が豊かで、すすると口に蕎麦の香りが広がります。手打ちの麺は、コシが強めで噛み応えがあり、のど越しがいいのが特徴です。
酒蔵のお店なので、日本酒と一品料理の種類も豊富で、ランチからお酒を味わえるのもおすすめです。
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彩豊かな前菜8種盛セットは蕎麦・天ぷら・デザートが付いて2,500円です。これだけ小鉢が多いと、思わずお酒がすすんでしまいますね。
江戸時代には、蕎麦屋でお酒を楽しむのは一般的で、昔から人々に愛されていた文化です。ぜひ宿場町の雰囲気を楽しみながら、美味しい蕎麦とお酒に舌鼓を打ってみてくださいね。
おいしいハーブティーとスープ 地元野菜が主役【葉の園<Hanoen>】
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葉の園<Hanoen>は、美味しいハーブティーと野菜たっぷりのスープを楽しめる癒しのカフェです。植物をきっかけに、人々が出会い繋がれる場所として地元に根ざし人気のお店となっています。
自然から取り入れた栄養で、癒されて元気になって欲しいとの願いから厳選した食材を使っているのが特徴です。
朝収穫した地元野菜や無農薬栽培の農家さんから直接仕入れた野菜とハーブ、スパイスを組み合わせ、添加物を使わない料理を手間ひまかけて提供してくれますよ。
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野菜たっぷりで、ヘルシーなランチプレートは価格1,200円です。メイン料理をキッシュかグラタンのどちらか選択可能で、さらにドリンクとデザートも付いた満足感のあるメニューになっています。
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こちらの食べ応えがありそうなハンバーガーは、なんとお肉を使用していません。葉の園<Hanoen>には、ヴィーガン向けのメニューも多く、普段は食べられないような料理にも出会えますよ。
中山道の宿場町散策に疲れたら、シンプルながらもゆっくりと体の奥に染み込んでくる料理を味わいながら、リフレッシュしてみてください。
コーヒー好きにはたまらない飲み比べがおすすめ【自家焙煎cafe KOMIBOU】
自家焙煎cafe KOMIBOUは、温もりある空間でこだわりのコーヒーを堪能できるお店。コーヒー本来の味を損なわないように、一粒づつ丁寧にハンドピックして雑味を抑えています。
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今にも芳ばしい香りがしてきそうですね。カップもおしゃれで、こんなコーヒーが出てきたらゆったりとした時間を過ごせそうです。
コーヒーだけじゃ物足りない方には、美味しいカフェごはんもありますよ。
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女性に人気の緑のガレットは、930円。思わず写真を撮りたくなるような、SNS映えする逸品です。
キーマカレーやハンバーグなど男性も満足できるランチメニューもあるので食いしん坊も安心ですよ。
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ごろっとしたグリル野菜と大きなハンバーグは、かなりの大盛メニューですが、スキレットに盛り付けるとおしゃれな【カフェ飯】感がグッと上がりますね。
上尾宿でSNS映えするランチを楽しみたいカップルは【自家焙煎cafe KOMIBOU】へ、足をはこんでみましょう。
中山道の宿場町【上尾宿】には魅力がいっばい
上尾宿では、現在でも中山道の宿場町として栄えていた情緒を各所で感じられます。散策に疲れたら、一休みできる素敵なお店もあり、1日かけてのんびりすごせますよ。
中山道の宿場町では史跡を巡り、ノスタルジーな気分に浸りながら贅沢な時間を過ごせます。今度の週末は、旅人が最初に泊まる宿場町【上尾宿】からぶらり旅をはじめてみましょう。
#中山道六十九次 #宿場町 #ぶらり旅
埼玉県在住のお出かけ大好き人間。妻と娘を連れて埼玉のお出かけスポットを制覇するのが夢です。