現在は埼玉県の県庁所在地として賑わっている浦和。大きなビルや話題のお店が立ち並び、都会的なイメージの場所です。そんな浦和は江戸時代から、中山道の宿場町「浦和宿」として発展してきました。
今回は浦和に行くなら立ち寄って欲しい、おすすめスポットをご紹介いたします。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
浦和宿の歴史
調神社や玉蔵院の門前町として栄えていた浦和に、徳川将軍の鷹狩りの休憩所「浦和御殿」が設けられたことが「浦和宿」の始まりとされています。
この投稿をInstagramで見る
建物は明治26年の浦和地方裁判所の建設に伴い取り壊され、現在は、常磐公園に姿を変えていますが、その中に裁判所跡の赤レンガ堀が残されています。
浦和宿は、中山道の日本橋から3番目の宿場町で、江戸から近いこともあり、宿泊者よりも休憩目的の人々で賑わっていた宿場町です。
規模は小さかったものの、毎月行われる「六斎市」には、多くの人が訪れ、賑わっていました。
この投稿をInstagramで見る
現在、常磐公園へ続く道には、野菜を売る農婦の銅像が立てられており、当時の賑わいを伝えています。
昭和初期まで続いた市場の跡地は、現在、さいたま市の史跡として登録されています。
浦和宿ぶらり旅におすすめの場所
当時の建物はほとんど姿を消してしまいましたが、浦和宿の賑わいを肌で感じられる場所が、現在も至る所に残されています。
まずは、駅からぶらりとお散歩をしながら楽しめる、おすすめのスポットをご紹介いたします。
浦和宿星野本陣跡
この投稿をInstagramで見る
さいたま市の史跡として昭和47年に登録された「浦和宿星野本陣跡」には、その昔、諸大名などの宿泊地として指定された宿、「本陣」がありました。
建坪は222坪門構・玄関付きの大規模なものでしたが、個人の邸宅であったため、建物は取り壊され、表門のみが緑区大間木に移築されました。
また、建物があった場所の一部は仲町公園として整備され、地元の人々が集う、近隣住民の憩いの場となっています。
焼米坂碑
この投稿をInstagramで見る
焼米坂は、南浦和小学校の東側にあり、本名を「浦和坂」と言います。江戸から荒川を渡って来ると、最初にある坂で、ここを登り切った所からが浦和宿です。
その昔、中山道を通る旅人たちに焼米を売る茶屋があったことから、「焼米坂」と呼ばれるようになったと言われています。
「焼米」とは、炒った米のことで、当時の携帯食として重宝されていました。
今ではさいたま市によって「焼米坂」という標識も設置されており、その名称はすっかり定着しています。
江戸時代に発行された「新編武蔵風土記稿」には「焼米坂 村の北の街道の内にあり、上り一町半許の坂なり、此所にて古来より焼米をひさぐ故に名づけリ」という記述があり、その歴史を感じさせます。
調(つき)神社
鳥居が無い神社として有名で、地元の人からは「つきのみや」と呼ばれ、親しまれています。今から約2,000年前に創建されました。
伊勢神宮へ納める貢物を納めた倉庫群の中に造られたため、搬出の邪魔になる鳥居が造られなかった、と言われています。
神社の周りには樹齢数百年の樹木が生い茂り、力強さを感じます。
また、「つき」という読み方が「月」と同じため、、月の動物と言われる兎が神の使いとされています。狛犬の代わりに兎が置かれているのもそのためです。それ以外にも、絵馬や石像など、境内の至る所に兎が施されています。
神社の中に何匹兎が隠れているのか、探してみてください!
一本杉の仇討ち跡
日本史上最後の仇討ちがあったとされる場所が、浦和宿にあります。
1864年、水戸藩家臣・宮本鹿太郎らが、千葉周作門下の元・丸亀藩浪人・河西祐之助を父の仇として討った場所がここ。近くの廓信寺には河西の墓もあります。
現在は「一本杉」と書かれた石碑が建てられており、厳かな雰囲気が漂っています。
中山道と六国見(ろっこくみ)
現在の「与野駅」の近くには、見晴らしの良い、小高い野原があり、「六国見」と呼ばれていました。『木曽路名所図会』には「富士 浅間 甲斐 武蔵 下野日光 上州伊香保など あざやかに見えたり」と記されています。
現在は近代的なビルが立ち並び、時代の移り変わりにロマンを感じることができます。
浦和といえば鰻の激戦区!ランチにおすすめのお店
実は、浦和には多くの鰻屋さんがあり、知る人ぞ知る鰻王国です。
江戸時代、浦和宿周辺には沼地が多く、魚釣りを楽しむ行楽客で賑わっていました。その人たちに沼地で採れた鰻を出したのが始まりで、その美味しさに、わざわざ遠くから何度も足を運ぶ人がいた程でした。
大正時代になり、開発が進んだため、沼地が減少し、鰻はいなくなってしまいましたが、蒲焼の味と技術は、今でもしっかりと受け継がれています。
今回はそんな鰻屋を始め、浦和宿周辺でランチにおすすめのお店をご紹介します。
江戸時代から続き浦和宿絵図にも記されている 【山崎屋 】
江戸時代から多くの旅人に愛されてきた、まさに浦和の鰻屋の発祥とも言えるお店がこちらの「山崎屋」です。
江戸時代から続く唯一の鰻屋とされ、鰻好きとして有名な昭和天皇も召し上がったことのある山崎屋の鰻。創業以来継ぎ足してきたタレは絶品で、濃厚でありながら、さっぱりとした味わいです。
以前は個室が中心の料亭スタイルでしたが、平成11年に全面改装を行い、現在では、手軽に「浦和のうなぎ」を食べられるとして、県外からも多くの方が訪れています。
ここでぜひ食べたいのは「共水二本筏重(6,200円税抜)」。幻のブランド鰻として名高い共水鰻をぜいたくに2本使用しています。
豊かな自然の中で育てた、旨みの強い鰻で、天然物に劣らない風味を持っています。
マツコの知らない世界でも紹介された【鰻 むさし乃】
創業60年の「鰻 むさし乃」は駅からのアクセスも良く、こだわりの国産鰻を食べられるお店として、人気を集めています。
鰻そのものの旨味を十分に楽しめるよう調理法にこだわっており、甘味とクセのない脂が口の中でとろけます。
特に、「新仔鰻重(5,390円税込)」は絶品!
捌きから、串うち、蒸し、焼きまで、丁寧に行われており、その味には定評があります。
また、一本一本手作業で小骨まで抜いているので、極上のフワフワ食感が楽しめます。
入荷されない日もありますので、見かけたらぜひ注文してみてください。
白い壁の可愛い甘味処で白玉あんみつもおすすめ【白壁屋】
鰻でお腹を満たしたら、食後のデザートに和スイーツはいかがですか?
落ち着いた雰囲気の「白壁屋」は小さなお店ですが、女性たちの間で、絶品和スイーツが食べられる穴場カフェとして話題の人気店です。浦和宿星野本陣跡から歩いて2分ほどの場所にありますよ。
この投稿をInstagramで見る
おすすめのメニューは「あんみつ(600円税込)」。丁寧に作られたあんこは、あと引く美味しさ。寒天やフルーツなどを、黒蜜が上手くまとめてくれています。
店内でも食べられますが、お持ち帰りもでき、シンプルであっさりとした甘さのスイーツは、お土産にも最適です。
夏限定のかき氷(600円税込~)も人気。イチゴや抹茶の定番シロップで、ふわふわのかき氷を楽しめます。
駅前の賑やかな雰囲気から少し離れて、ゆっくりと正統派のスイーツを味わってみてください。
歴史と現代が交差する街、浦和に遊びに行こう!
県庁所在地として賑わい、高いビルが立ち並ぶ浦和駅周辺ですが、少し歩くと、浦和宿の面影を楽しめるスポットが今もなお、たくさん残っています。
新旧の浦和の魅力を発見しながら、お散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。
埼玉県在住のライター。30代主婦の目線から、家族の健康や食事、子供と実践できる美容法など、家族の健康と美容をメインに執筆活動を行っている。
#中山道六十九次 #宿場町 #ぶらり旅