江戸時代に整備された五街道のひとつ、中山道。中山道宿場町の「桶川宿」はべに花の集散地として栄え、全国的に知られるようになりました。
今回は桶川宿の歴史や古き良き街並みを楽しめるおすすめの観光スポット、和食ランチが楽しめるお店をご紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
桶川宿の歴史
江戸時代、徳川幕府が整備した「五街道」。埼玉県の桶川市にはそのうちのひとつ「中山道」が通り、そのまわりには「桶川宿」と呼ばれる宿場ができました。桶川宿は中山道の出発点である江戸・日本橋から数えて6つ目の宿場。多くの人と物が行き来するようになり、桶川はしだいに発展していきました。
桶川宿では、農産物の取引が頻繁に行われていたのが特徴的。取引されていた主要な農産物のひとつとして挙げられるのが、染め物や口紅の材料に使用されていた「べに花」です。
べに花の栽培が始まったのは、天明・寛政年間(1781〜1801)。当時の桶川ではべに花畑があちこちに見られたと言われているほど、栽培はさかんに行われていました。多くの染物屋が遠くから桶川までべに花を買いに来るほど人気を博し、幕末の頃にはべに花の生産量が山形県の最上に次いで全国2位に。質の良さが話題となり、「桶川臙脂(えんじ)」の名前で日本全国に知れ渡るようになりました。
明治時代には化学染料の誕生から衰退してしまいますが、べに花は桶川の歴史を語る上で欠かせないことから現在も市は「べに花の郷 桶川市」をキャッチフレーズに掲げています。
桶川には、そんな多くの歴史が詰まった桶川宿の雰囲気を感じられる有形文化財が集まっています。時間を忘れてゆっくりとお散歩してみましょう!
桶川宿ぶらり旅におすすめの場所
ここからは、桶川宿ぶらり旅に欠かせないおすすめのスポットをご紹介します。どの場所もJR桶川駅から徒歩10分以内で行くことができるので、気になる場所を訪れてみてくださいね。
稲荷神社
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最初にご紹介するのは「稲荷神社」です。江戸時代の初期以前に祀られた神社で、桶川宿の人々の心の拠り所として大切にされてきました。
稲荷神社は力石が有名で、有形民俗文化財にも登録されています。力石とは、当時若者たちが力比べをするために持ち上げていた大きな石です。稲荷神社の力石は長さ1.25m・幅約0.7mととても大きく、重さは610kgでなんと日本一とのこと! 江戸で一番の力持ちと称されていた三ノ宮卯之助(1807~1854)がこの力石を持ち上げたと言われています。
神社内は広々としており、初詣などにも多くの桶川市民が訪れています。神社内は基本的には無人なので、御朱印などをもらいたい場合は事前に確認してから訪れることをおすすめします。
紅花商人寄進の石燈籠(有形文化財・歴史資料)
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稲荷神社の拝殿前には、紅花商人寄進の石燈籠があります。はじめにお伝えした通り、桶川宿はべに花の取引により全国的に有名になりました。
1857年、桶川や上尾、菖蒲などのべに花商人たちがべに花の繁栄に感謝して建てたのがこのふたつの燈籠です。もともとは桶川宿にある南蔵院不動堂に寄進されたものでしたが寄進から12年後に廃寺となったため、この稲荷神社に移されました。
燈籠には、寄進したべに花商人たち24人の名前が掘られているのでじっくりと見てみましょう。こちらは桶川市指定の有形文化財・歴史資料に登録されており、当時の繁栄が伝わってくる貴重な桶川の文化財として今もなお大切にされています。
島村家住宅土蔵(登録有形文化財・建造物)
1836年に建てられた3階建ての「島村家住宅土蔵」は、桶川宿場にある穀物問屋。屋号である「木嶋屋」の一文字目「木」の字が屋根の鬼板に刻まれています。
この土蔵が作られたのは、江戸時代後期1833〜1839年頃に起こった「天保の大飢饉」のピークの頃。飢餓に苦しむ住人たちに仕事を与えることが建築の目的でした。その稼ぎの結果多くの人の命が救われたことから、島村家住宅土蔵は「お助け蔵」とも呼ばれています。
建物内は「江戸時代生活用具資料館」として毎月第1土曜日13:00〜16:00に一般公開されています(事前予約)。新型コロナウイルスの影響で中止されることもあるので、桶川市観光協会HPの「イベント情報・お知らせ」で最新情報を確認してみてくださいね。
丸木島村老茶舗(登録有形文化財・建造物)
旧中山道沿いにあるお茶屋さん「丸木島村老茶舗」。島村家の初代である木嶋屋七兵衛は、べに花商人の木嶋屋源右衛門の家に生まれました。七兵衛は1854年に分家独立した後、べに花に加えて茶と紙の営業を開始。創業以来160年以上の長い歴史を持つお店で、現在は6代目の方がお店を営んでいます。
登録有形文化財として登録されているのは、中山道沿いにある2階建ての店舗と奥にある主屋です。現在残っている店舗はおよそ100年前の1926年に建てられたもの。約20cm角のケヤキの大黒柱やモミジの床柱など質の良い木材を用いて丁寧に作られています。ほぼ建設当時のままの状態で残されている文化財ということでとても貴重ですね。
店内では掛川茶や狭山茶などこだわりのお茶が販売されているので、ぜひ気になるお茶を探してみてください。
小林家住宅主屋(登録有形文化財・建造物)
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最後にご紹介する桶川宿のおすすめスポットは「小林家住宅主屋」です。1840年もしくは1852年に建てられたと考えられており、もともとは旅籠(宿場)として使用されていました。
のちに小林家が建物を買い取って材木商を営むようになり大きく改修されましたが、今もなお旅籠の面影を残しています。
例えば、2階は中廊下型の設計となっており旅籠として利用されていた当時の部屋割りの名残だと言われています。また、屋根の骨組みは「和小屋構造」とよばれる日本の伝統的な工法で作られているのも特徴。当時の旅籠の様子が伝わってくる貴重な文化財です。
後ほどご紹介する通り、現在はギャラリー併設の喫茶店として営業されています。外観は桶川市の観光PRポスターの撮影場所として使用されたことでも有名です。
桶川で和食ランチにおすすめのお店
続いて、桶川で和食ランチに訪れたいお店を3店舗ご紹介します。桶川宿を散策した後には、素敵なお店でほっとひと息ついてみてはいかがでしょうか。
予約必須の人気店① 百々山御膳がおすすめ【百々山】
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桶川駅からバス+徒歩で行ける「百々山」では、落ち着いた店内で美味しい和食御膳をいただくことができます。
ランチメニューのひとつ「百々山御膳」は、日替わりのメイン料理にお刺身、小鉢2つ、ご飯、みそ汁、香の物、そしてデザートまでたっぷり。メイン料理やお刺身は季節の旬の食材を使用しており、何度訪れても楽しめると評判です。
ほかには、うどんもしくはそばから選べる「旬麺御膳」や、穴子が乗った丼ぶりに温泉卵を載せて食べる「紅花御膳」も人気。どのメニューも品数豊富で、さまざまなお料理を少しずついただけるのが嬉しいですね。
予約必須の人気店② 数量限定 旬の彩り膳がおすすめ 【旬彩よこ川 】
続いてご紹介するのは桶川駅から徒歩14分ほどの「旬彩 よこ川」。ランチタイムでも豪華な御膳や懐石料理、丼ものを満喫することができるお店です。
「旬の彩り膳」は、盛り込み皿、お造り、小鉢2つ、サラダ、ご飯、茶碗蒸し、香の物、お味噌汁、デザート、コーヒーがセットになった大人気のメニュー。こちらは数量限定なのでぜひ早めにランチに訪れてみてくださいね。
ほかには小鉢、香の物、お味噌汁、デザートがついた「海鮮丼」や「天ぷら御膳」など、気軽に楽しめるメニューも充実しています。
カウンター席や小上がり席、個室まであるのでおひとり様での利用はもちろん、さまざまなシーンでぴったりのお店です♪
登録有形文化財の建物を利用したギャラリー併設の喫茶店【ブラッドベリ】
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ギャラリー&カフェの「ブラッドベリ」。先ほどご紹介した「小林家住宅主屋」内にある喫茶店で、美味しいコーヒーや紅茶、ケーキなどをいただくことができます。
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店内のギャラリーでは、月ごとにさまざまな企画が開催。過去に行われたイベントは、日本全国から集めた伝統的な和食器の展示販売や、お正月飾りを作るワークショップ、語り琵琶などさまざまです。毎月の企画内容は公式HPをチェックしてみてくださいね。
中山道の宿場町 桶川宿を散策してみよう
以上、中山道宿場町の桶川宿をご紹介しました。かつて宿場町として栄えた桶川には、登録有形文化財に登録されている建物がたくさんあります。当時の状態がそのまま残されている建物も多くとても貴重です。
#中山道六十九次 #宿場町 #ぶらり旅
大勢の人々でにぎわった桶川宿の様子を想像しながらお散歩を楽しみましょう♪
埼玉県在住、20代女性ライターです。大好きな埼玉県を様々な角度からたっぷりお伝えできればと思っています!埼玉の知られざる魅力を発見していただけたら嬉しいです。