桶川市で創業100年を迎える「坂巻醤油店」をご存じでしょうか?
料理の味を引き立ててくれると愛用者も多いお醤油は、伝統の製法を今に受け継いでいます。
今回はそんな坂巻醤油を訪れ、こだわりのお醤油について伺いました。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
大正14年創業「坂巻醤油店」とは
桶川市の坂巻醤油店は、昔ながらの木桶で仕込む製法を守り続ける老舗の醤油店。
地元埼玉の小麦と国産丸大豆、天日塩を使い、月日と手間暇をかけて丹念に醤油造りをされています。
初代がタマジョウの商標を受け継いだ大正14年を創業とされていますが、それ以前にも醤油造りは続いていたのだそう。
そんな歴史ある坂巻醤油の工場兼直売店があるのは、桶川市川田谷。平成22年にこの場所に移転されたそうで、立ち寄ってみたくなるおしゃれな外観です。
坂巻醤油が受け継ぐ「木桶仕込み天然醸造」
坂巻醤油が仕込みに使うのは、創業から代々受け継いできたという木桶です。今回は特別に木桶のある蔵を案内していただきました。
駐車場からすでに香ばしい香りが漂っていたのですが、蔵の中ではさらに濃厚なお醤油の良い香りに包まれます。
八尺桶と呼ばれる木桶は高さ約2m40cmもあり、桶1本で大豆と小麦がそれぞれ2トンずつ、塩水は6000リットルも入るそうです。
使い込まれた木桶を見上げていると、そのどっしりとした風格とともに坂巻醤油が紡いできた歴史の重みを感じられます。
この木桶や蔵に住み着く酵母菌や微生物の力を借りて、1年もの間じっくりもろみを発酵熟成させていくのだそう。
坂巻醤油のさらなるこだわりは、添加物を一切使わず、自然の温度変化のみで発酵熟成させる「天然醸造」であること。
4代目の小野さんに醤油造りのこだわりを聞くと、「こだわりとは違うかもしれませんが…」と前置きされてから「菌や酵母など生きものを相手にしているので、その生きものたちが働きやすい環境を作って、お手伝いをしているという感覚ですね。」
と教えていただきました。醤油の麹菌は熱に弱く、温度が高くなり過ぎると活動が弱くなるため温度管理は欠かせないのだそう。
そんな繊細で手間のかかる作業を、ほぼすべて小野さん1人でこなされているということで、さらに驚いてしまいました。
使い分けも楽しい坂巻醤油の2種類の醤油
坂巻醤油こだわりのお醤油は、「本造丸大豆醤油」と「甘露醤油」の2種類。
直売店では様々な組み合わせのギフトも用意されています。
本造丸大豆醤油は、どんな料理にもよく合う万能醤油。まろやかな味わいで、煮物やつゆ物など、料理の味をワンランク引き上げてくれます。
そして、坂巻醤油のイチオシがこの甘露醤油です。
一般的な醤油は醤油麹に塩水を加えたもろみを発酵・熟成させて造りますが、甘露醤油は塩水の代わりに丸大豆醤油を使い、さらに1年発酵・熟成させています。
つまり甘露醤油は、さいしこみという2年物のお醤油ということ。期間も原料も倍必要な分、旨みや風味も凝縮されています。ちなみに甘露という名前ですが甘いお醤油ではありません。
特にお肉料理と相性抜群で、わさび醤油でいただくと、その深いコクと旨みがお肉の味を一層引き立ててくれます。
直売店でお土産やギフト選びもおすすめ!
直売店にはほかにも、坂巻醤油のお醤油を使った商品が豊富に揃っています。
こちらは、瓶の中に醤油を入れるだけでオリジナルだし醤油が作れる「自分で作るだし醤油 宗田鰹」。醤油を入れて1~5日待てば、宗田鰹の香り高いだし醤油のできあがり。10回注ぎ足して使用できるのが魅力です。
そのほか、甘露醤油をたっぷり使ったお煎餅や豆菓子、クッキーまで。
サクサク食感の甘露醤油クッキーは、ほんのり香る醤油が絶妙なバランス。くるみとごまがたっぷり入っていて、大きめサイズで食べ応えがあります。
お醤油味の珍しいジェラートも発見しました。上尾市にある榎本牧場の搾りたてミルクと、甘露醤油で味付けしたナッツのジェラート…どんな味わいなんでしょう。次回ぜひ試してみたいと思います!
坂巻醤油の商品は通販でも取り扱っています
創業より、蔵に息づく酵母菌とともに歴史を刻んできた坂巻醤油。
遠方の方は、通販でも購入できます。手間暇かけた昔ながらの製法で造られた2つのお醤油、ぜひ味わってみてください。
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