コエドブルワリーの醸造所を見学!川越で紡がれるクラフトビール造りの物語

コエドビールの瑠璃

小江戸・川越で生まれ、個性豊かな味わいが人気のクラフトビール「コエドビール」。

今回は東松山市にある醸造所を訪れ、コエドブルワリーがビール造りに込める思いやこだわりを伺いました。

その美味しさは言わずもがなですが、ビール造りのルーツや製造工程を知ることで、さらに親しみが増すこと間違いなしです!

※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。

コエドブルワリーと川越の農業の結びつき

コエドビールの入ったグラス(提供:COEDO)
提供:COEDO

コエドビールは「Beer Beautiful」をコンセプトに、様々な表情を持つビールの魅力や楽しみ方を提案するクラフトビールブランド。

醸造するコエドブルワリーの母体である協同商事は、1970年代から川越で有機農業に取り組んできました。

埼玉では健全な土づくりのために緑肥として麦の栽培が盛んだったそうですが、その後の麦の活用方法があまりなかったのだといいます。

そこで、「麦をビールに活用してみてはどうか?」と考えたことがコエドビールの原点となりました。

当時独立した製麦会社がなかったため、麦を活用したビール造りは断念しましたが、1996年に規格外で廃棄されていた川越産のさつまいもを使ったビール醸造に成功。

これがコエドの定番商品のひとつ「紅赤-Beniaka-」につながっています。

コエドビールの定番6種類(提供:COEDO)
提供:COEDO

コエドビールの定番は6種類。それぞれのビールには色のイメージから、「毬花-Marihana-」「瑠璃-Ruri-」「伽羅-Kyara-」など日本の伝統色にちなんだ個性豊かな名前がつけられています。

全国流通のほか海外28か国にも輸出されており、世界のコンテストでも高い評価を受けるクラフトビールです。

コエドブルワリーのSDGsへの取り組み

コエドビール醸造所の航空写真(提供:COEDO)
提供:COEDO

コエドブルワリーの大きな特徴は、持続可能なビール造りとして環境に配慮したさまざまな取り組みを実施していること。

例えば、麦芽粕は飼料としてすべてリサイクル。醸造用水は敷地内に掘った井戸から確保し、ビールの醸造過程で出た排水もブルワリーで浄化して自然に還しています。

2023年には排水処理場にバイオマス発電を導入し、メタンガスを燃やして電気を作る仕組みも整えました。

また、代表の朝霧さんは醸造所の敷地内のグラウンドを開拓し、有機農法で麦を自家栽培する取り組みも進めているのだそう。将来的には、自社農園で育てた麦でビールを醸造したいと考えているそうです。

川越の麦で作られたコエドビール、どんな味わいになるのか楽しみですね。

東松山市のCOEDOクラフトビール醸造所を見学!

コエドビール醸造所の正面入り口(提供:COEDO)
提供:COEDO

そんなコエドブルワリーの醸造所は、自然豊かな東松山市にあります。

ホテルのような立派なレンガ調の建物は、元々企業の研修所として使われていたのだそう。建物内に入ると、昭和50年代の建設当時の面影を感じることができます。

コエドブルワリーの醸造所のロビー

今回は定期的に開催されている工場見学ツアーと同じ通路から、じっくりと醸造過程を見せていただきました!

工場は工程ごとに部屋が区切られていて、以下の順で窓越しに部屋を覗いていきます。

麦芽粉砕室

仕込水タンク室

仕込室(釜・ろ過槽)

仕込室(ワールプール)

発酵熟成タンク室

びんづめ室・樽づめ室

まずは麦芽粉砕室で麦芽を細かく砕いて、ビールの素ができたら仕込みの段階へ。

仕込水タンク室

砕いた麦芽とお湯が仕込み釜で混ざり合うと、麦芽の中のアミラーゼという酵素が働いて、でんぷんを糖分へと変化する「糖化」が行われます。こうしてできるのが「麦汁」です。

仕込み室の釜とろ過槽

次に麦汁と麦芽粕を分けるためにろ過槽を通じて麦汁を得ます。ちなみにこの工程で最初に流れ出る麦汁が「一番搾り」と呼ばれるものなんだそう。

煮沸して殺菌したら、ビール造りに欠かせない主原料の一つ「ホップ」を投入。ホップのルプリンが熱に反応してビール特有の苦みが生まれます。

仕込室のワールプール

こちらのワールプールの中では麦汁がぐるぐる回っていて、渦の中心にホップの粕などを集め回収することで、澄んだ麦汁と区別しやすい状態をつくります。次の工程へ移行する過程で酵母を入れて、発酵・熟成に移ります。

発酵熟成タンク室

発酵と熟成の期間を経て、それぞれ瓶・缶・樽へとビールが充填されていきます。

ビールの缶詰め室

ここまでの工程には1か月前後の期間がかかるのだそう。初めて知ることばかりで、取材班みんなで興味津々の工場見学でした。

醸造所の入り口には直売所があり、その場でビールを買うこともできます。工場見学の余韻に浸りながら、お土産のビールを選ぶ時間もまた格別です。

コエドビールの定番ビールを飲んでみました

ということで、今回お土産に選んだビールは「紅赤-Beniaka-」(写真右)と「白-Shiro-」(写真左)。

コエドビールの紅赤と白

こうして並べてみると色が全く違いますよね。それぞれの色や香り、味わいの個性を比べてみるのもコエドの楽しみ方の一つです。

まずは紅赤をいただいてみます。こちらは川越名産のさつまいも「紅赤」を使用した、赤みがかった琥珀色のオリジナルエール。

グラスに注ぐと、ほんのりさつまいもの香りが!口に含むと香ばしい自然な甘みが膨らみます。深いコクの奥には焼き芋のような味わいも。

川越ならではの個性的なクラフトビールとして、贈り物にもぴったりですね。

グラスに注がれたコエドビールの紅赤と白

続いて白濁色の白をいただきます。実は筆者、ビールの苦味があまり得意ではないのですが、「苦くないビールならこれです」とおすすめしてもらったのがこちらでした。

教えてもらった通り苦味はかなり控えめで、フルーティーな味が際立ちます。まろやかな飲み口と爽やかな香りで、とても飲みやすいビールでした。

ビールの苦味が苦手という方にぜひ挑戦してほしい1本です。

川越にはブルワリー併設のレストランも!

そんなコエドビールは、食中酒として楽しめるのも魅力的。

コエドビールと食事のペアリングを堪能できるのが、川越駅直結の複合施設「U_PLACE」1階にある「COEDOBREWERY THE RESTAURANT」です。

なんとレストランには醸造所も併設されております。この醸造所で造られたレストランでのみ提供されている特別な限定ビール「The House Ale」を楽しむことができます。

中華料理をベースとしたメニューはどれもビールと相性抜群。地元食材やコエドのルーツであるオーガニック野菜が豊富に使われているのもポイントです。

ビールが醸造される過程を眺めながら、美味しい料理とビールを存分に味わってみてくださいね。

詳細情報

所在地  川越市脇田本町8-1 U_PLACE1F
アクセス  JR「川越駅」西口から徒歩約3分
駐車場  なし
営業時間
月~金  11:30~15:30(L.O.15:00)/ 17:00~22:00(L.O.21:00)
土日祝  11:30~22:00(ランチL.O.15:00 / ディナーL.O.21:00)※15:00~16:00はドリンクのみ
定休日  なし
電話番号  049-265-7857
サイト  COEDO BREWERY THE RESTAURANT|COEDO BREWERY
SNS  COEDO BREWERY

地元川越と共に歩むコエドブルワリー

コエドブルワリーの瓶ビールと缶ビール

華やかな印象のあるコエドビールですが、お話を伺うことで、その美味しさの裏にあるビール造りの深いストーリーに触れることができました。

コラボ商品やイベント、地元川越と密着した取り組みなど、コエドブルワリーのこれからの展開にも注目です!

けやきひろばビール祭りの案内板
バーカウンターに置かれたグラス入りのビール
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