大宮の旧中山道沿いには、江戸時代に栄えた宿場町の面影が今でもまだ残っています。
たまには歴史を感じて散策するのもおすすめです。
今回は、宿場町の見どころや、散策の帰りにおすすめしたい美味しいランチを食べられるお店をご紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
大宮宿の歴史
大宮宿は、江戸時代に栄えた宿場町のひとつで、中山道六十九次では江戸から数えて4番目の宿場町です。
大宮という名は、氷川神社を指す「氷川の大宮」に由来しているといわれています。もともとは氷川参道の東側を通っていた中山道沿いに大宮宿がありましたが、中山道が西側へ移動したのを機に、宿場町も街道沿いへ移りました。
大宮宿は、宮町・大門町・仲町・下町の4町で構成され、本陣の予備となる脇本陣が9つあり、ほかの宿場町より大きな規模を誇ります。
大宮宿の前身は、浦和宿と上尾宿の間にある馬継場(荷物を運ぶ馬を乗り継ぐ場所)でした。そのため大宮宿には、宿場を利用する役人の荷物を運ぶための馬や人を用意する問屋場(といやば)が多いという特徴があります。
明治になり宿場町としての役目を終えたあとは、鉄道の普及により鉄道の街として発展を遂げています。
大宮宿ぶらり旅におすすめの場所
現在の中山道には、当時の名残はほとんど見当たりません。
しかし近代的な商業ビルが立ち並ぶ街並みの中でも、大宮宿の歴史を感じられる場所がいくつか残っています。大宮宿の散策におすすめしたい見どころを5つご紹介します。
氷川神社
正式名称は「武蔵一宮 氷川神社」といい、冒頭でもお伝えしたとおり「大宮宿」の名前の由来にもなりました。関東に約280社あるとされる氷川神社の総本社が、大宮の氷川神社です。
緑豊かな大宮公園の一角で荘厳にそびえたつ朱い社がとても美しく、御創立は2000年以上前と伝えられています。明治には明治天皇の御親祭を行ったとされており、平成29年には150年大祭も執り行われました。
氷川神社の参道は2kmにわたる美しいケヤキ並木で、近代的な大宮の街並みで圧倒的な存在感を放っています。
中山道から脇にそれた鳥居をくぐり参道に入るだけで、外界とは一変した神々しい自然に包まれる感覚です。
氷川神社を参拝して、歴史を肌で感じてみましょう。
お女郎地蔵と火の玉不動
さいたま新都心駅の東口近くにポツンと目立つほこらの中にある、大小並んだお地蔵様が「お女郎地蔵と火の玉不動」です。
2つのお地蔵様にまつわる物語を、それぞれご紹介します。
お女郎地蔵
その昔、大宮宿で旅人の相手をしていた千鳥、都鳥という美しい姉妹がいたそうです。千鳥には思いを寄せる男性がいましたが、美しい千鳥を横取りしようとする盗賊の男にしつこくつきまとわれ、思い余って身を投げてしまいました。
「お女郎地蔵」は、そんな千鳥を不憫に思った人々が建立したと言い伝えられています。
火の玉不動
千鳥の悲恋があったあと身を投げた場所では、夜な夜な火の玉が目撃されるようになったそうです。人々が、火の玉の正体を「千鳥の霊魂だ」とか「不動明王のいたずらだ」とか噂するようになった頃、一人の男が火の玉に遭遇しました。
火の玉を斬りつけると悲鳴とともに男が現れ、自らを不動明王と名乗るとすぐに消えてしまい、不動明王像の剣も消えてしまったそうです。
その時の不動明王像が「火の玉不動」として語り継がれています。「お女郎地蔵と火の玉不動」を訪れる際は、ぜひ千鳥の物語を思い出してみてください。
安藤橋碑
氷川神社参道「一の鳥居」の先にある吉敷町という大きな交差点に「安藤橋」と書かれた石碑があります。石碑のある場所は、かつて大宮宿の南入口だった所で、石橋のかかった排水路がありました。
大宮宿の人々を救った安藤弾正という武士の名に由来し、石橋は「安藤橋」と名付けられたそうです。安藤弾正は、大宮宿での大火事の際に、被害にあった宿場町の人々に幕府の米と金を施し、大勢の命を救ったと伝えられています。
しかし幕府の許可を得ていなかったため、安藤弾正は独断で米や金を施した責任から切腹を余儀なくされ、人生の最後を遂げました。
ぜひ安藤橋碑を訪れて、安藤弾正が命がけで守った大宮宿の歴史を感じてみてくださいね。
塩地蔵
旧中山道から路地に進むと、2つの小さな御堂に守られているお地蔵様があり、向かって右が子育地蔵、左が塩地蔵です。
塩地蔵にまつわる言い伝えをご紹介します。
かつて父の病に嘆く2人の娘が、夢枕に見た地蔵菩薩のお告げに従い「塩断ち」をしたところ、父の病が治りました。感謝した父娘が塩を奉納したとされるのが塩地蔵です。
父娘にあやかりたいと願った人々が塩を供えるようになり、塩地蔵への信仰が厚くなったそうです。
信仰は現在まで続いており、今も塩地蔵には塩が供えられています。塩地蔵を訪れた際は、塩をお供えして健康を祈願してみましょう。
涙橋碑
旧中山道沿いの第四銀行の脇にある「涙橋」と刻まれた石碑が涙橋碑です。
大宮宿の「涙橋」には、こんな悲しい言い伝えが残っています。
現在の吉敷町は、かつて罪人を処刑する下原刑場がありました。大宮宿にある排水路にかかる橋は、下原刑場へ送られる罪人と親族が最後の別れを許された場所でした。涙を流して別れを惜しむ大宮宿の橋は、いつからか「涙橋」と呼ばれるようになったそうです。
多くの人が行き交う中山道で宿場町として発展していた大宮宿では、さまざまな人間模様があったようですね。涙橋碑を訪れて、当時の人々の悲しみを感じてみてはいかがでしょうか。
氷川神社付近にある ランチにおすすめのお店
旧中山道にある大宮宿の見どころを5つご紹介いたしましたが、中でも氷川神社の美しさは見ごたえがあり、一番おすすめしたいスポットです。
さらに氷川神社付近には美味しいランチが食べられるお店もあるので、お参りした帰りにランチを楽しむのもおすすめですよ。
ここからは氷川神社の近くでランチを楽しめるお店を3つご紹介していきますので、氷川神社散策の際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
おすすめの氷川御膳 食事の余興におみくじあり!【ブラッスリーシャトレー】
氷川参道すぐ横にある洋風のおしゃれな外観の建物が「ブラッスリーシャトレー」です。結婚式場「清水園」の2Fにあるレストラン。大きな窓から差し込む光で明るい店内で豪華なランチを味わえます。
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ランチは11:00〜14:00の間で提供されており、週替わりのおすすめランチは洋食好きな方でも和食好きな方でも楽しめます。
洋食のおすすめランチは、魚料理や肉料理、パスタやカレーなど種類も豊富で、美味しいパンが食べ放題なのも嬉しいですね。
また平日限定で提供される氷川御膳は縁結び御膳としても知られており、おみくじの余興も楽しめます。気になる異性と縁結び御膳を召し上がってみてはいかがでしょうか。
「ブラッスリーシャトレー」公式サイトからは予約も可能です。
とくに氷川御膳は数量限定ですので、「せっかくお店に行ったのに食べられなかった!」なんてことがないよう予約をおすすめします。
埼玉県産九頭龍の卵を使用したオムレツが最高!【cafe CERVIN】
つづいてご紹介するのは一の宮通りにある「cafe CERVIN」です。店内には緑がたくさんあり、ウッド調で自然のあたたかさを感じられるおしゃれなカフェですので、女性のおひとり様でも気兼ねなく利用できます。
エントランスは少し上がったところにあり、高い場所から通りを見渡せるので、ゆったりとすがすがしい気分に浸れますよ。
「cafe CERVIN」には、テーブル席以外にもソファー席があるので、お子様連れでもランチを楽しめます。
ヨーロッパで7年修行したシェフが提供する絶品のランチは、パスタ、オムレツ、プレートなど種類も豊富です。特に埼玉県産九頭龍の卵を使用したオムレツは、ふわふわの卵が美味しいと大人気です。
フランスで修業したシェフが作るスイーツも見逃せません。24時間漬け込んだフレンチトーストは、カリじゅわっとたまらない美味しさ。
電源・Wi-Fiも完備されており、ゆったりとくつろげるおしゃれなカフェです。
氷川参道沿いの甘味処 ランチも甘味も両方満喫!【氷川だんご屋】
最後にご紹介するのは、昭和45年創業の「氷川だんご屋」です。2020年にリニューアルし、車椅子やベビーカーの方でも店内へ入りやすいよう配慮されたので、お子様連れでも気軽に立ち寄れます。
氷川参道沿いで30年以上も人々に愛された「氷川だんご」は、しょうゆが香ばしい主力メニューで、参拝の疲れを心地よく癒やしてくれます。
いそべ焼きの氷川だんごによく合う梅茶がセットになって420円という、リーズナブルな価格設定がうれしいです。
だんごのほかにも、人気の酒まんじゅうや揚げまんじゅうなど、和菓子好きなら一度は食べたいメニューがたくさんあります。
甘味だけでなく、数量限定の氷川きしめんをはじめ、丼ものやおにぎりなど軽食も食べられるのでランチにもってこいです。
氷川神社の帰りには「氷川だんご屋」で身も心もゆっくり休めてください。
大宮の中山道で宿場町の歴史とランチを満喫!
何気なく通っている大宮の旧中山道沿いには、実は宿場町の名残がいくつもあります。
今回ご紹介した大宮宿の言い伝えを心に留めて見てみると、普段とは違う中山道の表情を楽しめるはずです。
氷川神社の近くには、おしゃれなカフェや美味しいだんご屋さんまで、さまざまなランチを楽しめるお店がたくさんあります。
今度の休日は朝から中山道を散策して、帰りにおいしいランチを満喫してみてはいかがでしょうか。
春日部市在住のライター。介護福祉士9年目。福祉や育児、グルメなど多岐にわたり執筆活動をしています。食べることが大好きです。
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