鶴ヶ島市は埼玉県のほぼ中央にある人口約7万人の市です。
残念ながら認知度はそこまで高くありませんが、都心へのアクセスがよく、豊かな文化を持つ魅力たっぷりの市ですよ!
今回はそんな鶴ヶ島市を、特徴や伝統・祭りにフォーカスして紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
鶴ヶ島市ってどんなところ?特徴は?
鶴ヶ島市は東京都心のベッドタウンとして発展してきており、川越市・坂戸市・日高市に隣接しています。
17.65平方キロメートルというコンパクトな市域に東武東上線「若葉駅」「鶴ヶ島駅」、東武越生線「一本松駅」の3つの駅があり、東武東上線を使えば鶴ヶ島駅から池袋駅まで直通・最短39分。
新宿や渋谷、東京、銀座までも1時間以内に移動でき、都心へのアクセスは抜群です。
さらに市内には関越道の「鶴ヶ島IC」と圏央道の「圏央鶴ヶ島IC」もあり、車での交通アクセスも充実。物流拠点としても栄えています。
駅の近くにはスーパーや商店街、ショッピングモールもあり、買い物にも便利です。治安もよく近年ベッドタウンとして人気を博しています。
鶴ヶ島は江戸時代には日光街道の要衝として栄えており、1889年に12村2新田が合併して「鶴ヶ島村」が誕生。その後1966年に「鶴ヶ島町」、1991年に「鶴ヶ島市」にそれぞれ単独でなりました。
江戸時代の新田開発の名残で狭山茶をはじめ今も農業が盛ん。豊かな自然が残る一方で印刷関連・プラスチック加工などの工業も盛んです。鉄道模型「Nゲージ」の会社もありますよ♪
鶴ヶ島市の魅力的な伝統行事
重さ約3トンの龍蛇は必見「脚折雨乞(すねおりあまごい)」
鶴ヶ島市で有名なものといえば、江戸時代から受け継がれてきた「脚折雨乞(すねおりあまごい)」です。
国選択無形民俗文化財、市指定無形文化財である雨乞い行事で、4年に1回、8月に開催されます。
地元の伝承によれば、鶴ヶ島では昔、日照りの際は脚折の雷電池(かんだちがいけ)のほとりにある雷電社の前で雨乞いをすると必ず雨が降る、と言われていました。
ところが江戸時代初期に池を埋め立てて田んぼにしてしまったことで、池に住んでいた大蛇がいつしか上州板倉(群馬県板倉町)にある雷電の池に移ってしまい、雨乞いの効果がなくなってしまったのだとか。
困った人々が群馬県・板倉神社の池の水を持ち帰って雷電池に注いで雨乞いをしたところ雨乞いは成功!
その後、儀式は受け継がれていきましたが、都市化の波により1964年を最後に一度途絶えてしまいます。
しかし、雨乞いの持つ地域の一体感を再認識した地元の住民が「脚折雨乞行事保存会」を結成し、1976年に脚折雨乞を再開したのです。
雨乞いの儀式に利用されているのが竹と麦わら、荒縄でできた巨大な「龍蛇(りゅうだ)」です。この龍蛇がとても大きい!なんと長さ36m、重さは約3tにも及びます。
行事の当日はまず、白鬚神社で龍蛇に龍神をおろす「入魂の儀」を行います。儀式によって龍蛇は龍神になると、約300人に担がれ、雷電池までの約2kmを移動します。
その後、池のなかに龍神を入れて「雨降れたんじゃく、ここに懸かれ黒雲」と叫ぶのがクライマックス。その後龍神を解体しますが、この際頭の上にある金色の宝珠を若者が奪い合うのも大迫力です。
鶴ヶ島のイメージキャラクター「つるゴン」は脚折雨乞がモチーフ
脚折雨乞は鶴ヶ島市のシンボルで「雨乞いのまち鶴ヶ島」とキャッチフレーズにもなっています。
さらに市のイメージキャラクターも脚折雨乞にちなんだ「つるゴン」。名前は市民公募で選ばれました。名前の由来は幸せを呼ぶ鶴と龍(ドラゴン)から。「鶴ヶ島に幸せを運ぶこと」がお仕事なんだそうです。
ゆるキャラグランプリ2020では総合順位3位に輝きました。ぽっちゃりめのキュートなフォルムがかわいらしいですね♪
市内のイベントやお祭りなどに良く参加しているので、見かけたらぜひ一緒に写真を撮ってみてください。
市指定無形文化財「高倉獅子舞」
鶴ヶ島市にはもうひとつ、市指定無形文化財である伝統行事があります。それが「高倉獅子舞」です。
獅子舞は獅子頭を被って舞い踊り、悪霊・悪疫を退散させ、ひいては五穀豊穣を感謝し祈願するもの。高倉獅子舞は三頭の獅子が勇壮に舞い踊るもので「ササラ獅子」とも呼ばれています。
獅子舞には三頭の獅子に加え、4人の童子が女装した「花笠」や、陣羽織を身に着け采配を持ち、獅子を導く「はいおい」、ほら貝を吹く「貝吹き」や笛吹き、歌うたい、天狗、万灯などもつき従います。
時にはひょっとこやおかめも加わるのだとか。歌う人々も加わり、華やかな舞を披露します。
行事は11月2日・3日の2日間に市内の高倉日枝神社や稲荷神社、高福寺跡で行われますが、見学する場合は11月3日(文化の日)に行われる高倉日枝神社での奉納舞がおすすめです。
鶴ヶ島市の特産品
狭山茶
鶴ヶ島市にはいくつか特産品がありますが、もっとも有名なのは「狭山茶」です。
狭山茶というと狭山市のイメージがありますが、もとは鎌倉時代に明恵上人が武蔵河越(現川越市)に植えたのが始まり。狭山市以外にも近隣の所沢市や入間市、さらに秩父地方など埼玉県の各地で栽培されています。
鶴ヶ島市内では現在6軒の茶農家が狭山茶を栽培・製造しています。鶴ヶ島市の狭山茶は化学肥料や農薬の使用量を減らして栽培された「特別栽培農産物」に認定されているんですよ。
直販店やオンラインショップを開設している農家もあるので、ぜひ購入してみてくださいね。
サフラン
鶴ヶ島市では2012年からサフランの特産化に取り組んでいます。半世紀前に農家が健康管理や調理のためにサフランを栽培していたこと、栽培に広い農地がいらず、軽作業で高齢者でも栽培できることなどが理由です。
産学官民連携で取り組んでおり、現在は栽培農家による「鶴ヶ島サフラン研究会」がサフランの販売を実施しています。
市内ではさまざまな飲食店でサフランを利用した料理が楽しめます。サフランを使った化粧品やハーブティー、サフラン染めのスカーフなどを扱うお店もありますよ。
美容やアンチエイジング、デトックスに生理不順など、さまざまな効果があるサフランをぜひ試してみてくださいね。
鶴ヶ島市で有名なお祭り
鶴ヶ島桜まつり
鶴ヶ島市ではさまざまなお祭りが開催されています。春には3月下旬から4月初旬にかけて鶴ヶ島市運動公園で「鶴ヶ島桜まつり」が開催されます。2023年は3月18日から4月2日までおこなわれました。
桜の広場の美しい桜並木や、太田ヶ谷沼をぐるりと囲む250本のソメイヨシノが水面に映りこむ姿は桜好きにはたまりません。2005年に福島県人会から譲り受けた三春滝桜にも注目です。
まつりの間は模擬店が並び、歌やダンスといったステージ発表で大いににぎわいます。提灯にライトアップされた夜桜も見どころのひとつです。
高倉菜の花まつり
続いてご紹介するのは、高倉地区にある農業交流センター「つるの里 のんのん」で毎年4月に開催される「高倉菜の花まつり」。
農業交流センターの周りは春になると、あたり一面の菜の花で黄色く染まります。黄色のじゅうたんの中をカラフルなこいのぼりが泳ぐ姿は絶景で、フォトスポットとして大人気です。
そんななかで開催されるのが菜の花まつり。お祭りでは菜の花を使用したメニューを食べることができるほか、模擬店や音楽演奏、ダンスのステージなども楽しめますよ。
コロナ禍以降は開催されていませんが、今年はこいのぼりがあげられました。復活が待ち遠しいですね!
サマーカーニバルin鶴ヶ島
鶴ヶ島市の夏の風物詩が「サマーカーニバルin鶴ヶ島」です。鶴ヶ島駅の西口商店街通りを歩行者天国にして開催される地元密着型の夏まつりで、2023年は7月15日にコロナ禍以降4年ぶりに開催されました。
今年は何と29回目。各種模擬店に加え、中学校の吹奏楽の演奏や和太鼓の演奏、夏らしいよさこいにベリーダンスなどのダンスパフォーマンスが毎年行われており、締めは華やかなサンバパレード!みんなで盛り上がれるお祭りです。
鶴ヶ島産業まつり
最後にご紹介するのが「鶴ヶ島産業まつり」です。こちらは鶴ヶ島市運動公園で秋に開催されるお祭りで、狭山茶をはじめとした市の特産品や農産物、商品の展示・販売がおこなわれます。
長年国内交流を続けている北海道の清里町や青森県の十和田市、長野県飯綱町の特産物も販売されますよ。ステージイベントも楽しみの一つです。
今年は11月11日・12日の2日間開催されます。昨年はアルコール類の提供禁止、ステージイベント中止とコロナ禍での開催でしたが、今年は復活!楽しみですね。
魅力的な鶴ヶ島市に行ってみよう
都会までのアクセスが良く、素晴らしい伝統が残る鶴ヶ島市。素敵なお祭りも毎年開催されており、今後ベッドタウンとしてさらに注目が集まることが予想されます。
ぜひ一度訪れてみてくださいね。
旅行メディアから出産を機に独立した、埼玉県在住のフリーライターです。得意分野は旅行と歴史と食事。最近、公園やテーマパークを中心とした県内の幼児連れのお出かけ先には詳しくなりました。埼玉県の魅力を皆様に伝えられるよう、頑張ります!