和装の足元には欠かせないアイテム、足袋。行田の足袋は全国一の生産量を誇ります。
「行田足袋」の歴史や良さ、販売店など、足袋蔵の多く残る行田のまちを歩きながらその魅力に迫ります!
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
植物と埼玉への愛が止まらない埼玉出身のライターです。まだまだ知られていない埼玉の魅力を発信します!
ドラマ題材にもなった行田の足袋!その歴史は?
行田の足袋づくりの歴史は古く、享保年間(1716~35年)ごろに書かれた「行田町絵図」にはすでに三軒の足袋屋が記されていたそう。
原料となる木綿の栽培に適した気候であったことや、近くに中山道が通っていたことなど、足袋の製作が隆盛していった要因はいくつか考えられます。
その後も足袋屋の数は増え続け、近代に入るとさまざまな要因から足袋工場の建設が進み、全国一の生産量を誇るようになりました。
昭和13年~14年の最盛期には、なんと全国の8割の足袋を生産していたとか!製品を保管する為に建てられた多くの足袋蔵のうち、80棟が現存しています。
ミュージアムとして中に入れるものや、店舗としてリノベーションされている蔵もいくつもあります。
その後靴下の普及とともに足袋の生産量は全国的に減少していくこととはなりますが、信頼の厚い「行田足袋」は現在でも国内外へ製品を発信しています。
この「行田足袋」をテーマにしたドラマのロケ地が、市内にはいくつもあります。行田の足袋の魅力と一緒に紹介していきましょう♪
行田足袋の特徴を学べる・体験もできる
足袋蔵まちづくりミュージアム
まずは行田市駅から徒歩約4分の「足袋蔵まちづくりミュージアム」へお邪魔します。
ちなみに、スタートの行田市駅もドラマの第3話のロケ地として使われたそう。レトロな雰囲気の駅舎やホームの待合室も必見です。
さて、「まちづくりミュージアム」ですが、こちらは120年ほど前に建てられた足袋蔵をそのまま使用しています。この日は25℃以上の夏日でしたが、一歩中に入るとひんやりとした空気に驚きます。
「蔵の壁は分厚いから、こんな日でも冷房なしで涼しいのよ。」と常駐のスタッフさんが教えてくださいました。
1階では行田の街あるきやイベント資料を配布しているほか、足袋の販売もあります。ちょっとしたお土産物を選ぶのにもおすすめです。
2階にあがると、さわやかな木の香りが濃くなります。
「1階部分にいくつかの補修をした以外は、建てられた当時のままの造りなの。今ではこんな太い梁にする木材を集めるだけでも難しいでしょうね。」
大きく掲げられた「新築記念」の看板も当時のお祝いの品だったのでしょう。建築技術の高さと、木材の力に圧倒されてしまいました。
「まちづくりミュージアム」には行田の足袋や歴史についてのパネル展示があるほか、足袋蔵として使われていた時代の名残があちこちに見られます。
忙しい職人さんが残したメモを、100年以上経ってこうして眺めていると思うと不思議な気持ちがしてきますね。
「行田足袋蔵まちづくりミュージアム」は行田市内の案内所の役割も担っています。行田市駅からも近いので、はじめて行田観光におでかけの際はまず立ち寄ってみてほしいスポットです。
足袋とくらしの博物館
「足袋蔵まちづくりミュージアム」を出たらすぐ近くにあるのが「足袋とくらしの博物館」です。どちらも「ぎょうだ足袋蔵ネットワーク」が運営しており、いきいきとしたまちづくりを目指し、様々な活動を行っている団体です。
「足袋とくらしの博物館」はもともと行田随一の足袋工場であった「牧野本店」の面影をほとんどそのまま残しています。
明治7年、武士から足袋職人へ転向した牧野鉄弥太氏によってはじめられた「牧野本店」。現在に残された店蔵・工場・土蔵の3棟は、行田の足袋商店を今に伝える貴重な建物群として、さまざまな調査や取材の対象にもなってきました。
こちらの開館日は土・日曜日。毎月第二日曜には、「my足袋作り体験」が催されます。
13にも及ぶ足袋づくりの製造工程のいくつかを実際に体験できるうえ、その場で足袋が仕上がるのも嬉しいところ。参加者は毎回5名までですので、気になる方は早めに問合せてみてくださいね。
行田の足袋は、立体的なふくらみをつけながら縫製されているところが特徴。実際に体験してみることで、その良さと創意工夫をより身近に感じることができるでしょう。
行田のまちには足袋蔵がたくさん!マップ片手に歩いてみよう
ミュージアムを後にして「古墳通り」を歩いていくと、評判通り歴史のありそうな建物がちらほら。
行田市は街をあげて「行田花手水week」を開催していることでも有名です。開催時期に合わせてまち歩きをすれば、10倍楽しめちゃいますね♪
素敵な雰囲気を放つ一角を覗いてみると、行田で人気のカフェ「閑居」の看板を見つけました。昭和初期の邸宅を改装したカフェで、和洋折衷の建築を満喫しながらランチをいただけます。
そのすぐ隣には「パン工房KURA」。こちらも築100年以上の足袋蔵をリノベーションした趣ある佇まい。「閑居」のランチで出しているパンもこちらで購入できます。
お昼時ということもあり、お店の前には行列ができはじめていました♪
行田の歴史や足袋の作り方をじっくり鑑賞◎行田をもっと好きになる!
行田市郷土博物館【忍城】
パン屋さんやカフェで休憩をはさみつつ、忍城のある行田市郷土博物館を目指します。
「行田市郷土博物館」は、昭和63年に建てられ、あわせて忍城御三階櫓も再建されました。中世の行田の歴史から、近代の行田を支えた足袋産業について、じっくりと鑑賞することができます。
当時の足袋商店を復元した門をくぐり抜け、行田足袋の歴史に迫りましょう!
こちらは工程ごとに異なるミシンを使って製作していた場面。当時もこんな風に隣の人と会話しながら作業を進めていたのでしょうね。
そして、取材陣ふたりで「これ、欲しいね・・・!」となったのが足袋ラベル。ずらりと展示された足袋ラベルは、昭和初期頃のものからあるそう。
よくよく見てみると、芸子さんや旅人など買ってほしい人に向けたイラストや、忍城や七福神の神様、だるまなど縁起の良いイラストなど、趣向が凝らされています。なかには現役で使われているラベルもあるのだとか!
さて、順路にしたがって渡り廊下を歩いていくと、いよいよ忍城の内部です。
行田の足袋もドラマの題材になったことは記憶に新しいですが、忍城もまた、大河ドラマに登場したことがあります。水攻めの際に最後まで抵抗したことから「浮き城」として知られ、続日本100名城のひとつにもなっているんです。
その忍城の内部にも、足袋と行田の歴史資料がたくさん。
行田の歴史や足袋についての常設展のほか、企画展やイベントも様々行っている「行田市郷土博物館」。忍藩ゆかりの様々な資料も見ごたえがあり、歴史好きならずとも楽しめる博物館です。
ラウンジの大きな窓から見える新緑にはちょうど日が差して美しい時間でした。「紅葉のころも見事ですよ」と学芸員さん。
行田の歴史と足袋づくりの魅力を楽しく教えてくださった学芸員さんにお礼を言って、また行田の足袋めぐりへ繰り出しましょう!
行田の足袋の販売店はどこ?お土産を買うならここがおすすめ
観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ
さてさて、行田の足袋について知見を深めたら、行田ならではのお土産が欲しいところですよね。
青空に映える忍城を後にして大通りを駅方面へ歩くこと15分ほど、行田商工センターの一階に「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」があります。
令和3年にリニューアルされたこちらのお店には、行田足袋の販売はもちろん、行田の地粉を使用した餃子や行田フライチップスなど、行田名物が目白押し。
色も模様も多種多様な足袋が並んでいます。和装だけでなく、洋装のアクセントとして取り入れてみたくなりますね!
忍城をかたどったパッケージが微笑ましい「忍城石垣チョコ」や花手水のようにきれいな金平糖も。
また、「ぶらっと♪ぎょうだ」が入る行田市商工センターは「赤ちゃんの駅」としても利用できます。1階の入口前にはベンチもあって、家族連れで休憩できるありがたいスポットですね♪
ドラマにも登場した行田銘菓♪十万石まんじゅう
十万石ふくさや 行田本店
行田に来たからには欠かせないお店として、最後にご紹介するのが「十万石ふくさや」。県内に30店舗以上を展開する老舗店ですが、実はここ行田店が本店。
「うまい!うますぎる」でおなじみの埼玉銘菓、「十万石まんじゅう」はドラマに登場したこともあって、今では埼玉を代表するおまんじゅうとして一躍有名になりました。
店内には「足袋蔵のまち行田」のさわやかな暖簾。
「十万石ふくさや 行田本店」では、お菓子のばら売りも豊富です。また、「十万石お菓子の日」では月に一日だけ、季節の花を焼印して用意します。こちらは数量限定ですので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてくださいね。
行田は足袋のほかにも魅力に溢れた歴史ある街でした
歴史あるまち「行田」。行田の足袋をきっかけに、様々な歴史に触れることができました。
行ってみてはじめてわかる魅力満載の行田。次は行田足袋を履いて、足袋蔵巡りに出かけたいですね!
#足袋蔵 #行田足袋