東京近郊の埼玉には、方言は関係ないものだと思われていませんか。実は埼玉にも、面白い方言が存在しています。
若者言葉として発展し日常的に耳にするものから、何のことかわからない難解なものまで紹介していきます。
埼玉弁クイズも用意していますので、自称埼玉通はもちろん、面白い方言を知ることができるので、せひ挑戦してみてください。
実は埼玉弁だった?埼玉の方言を気付かず使っているかも
埼玉は長く「東京のベットタウン」として栄えており、埼玉から東京に通勤・通学して日中を過ごし、夜は埼玉に帰っていくという生活スタイルが確立されています。
また生まれや育ちが東京でも、就職や結婚のタイミングなどで、比較的地価の低い埼玉に移り住む人もいます。そのため都心との隣接地帯は、人口が増加し続けている状態です。
「池袋は埼玉県民の植民地」などと言った辛辣な表現もされるように、東京と埼玉では人が混じりあっているため、気付かないうちにあなたも埼玉弁を使っているかもしれません。
埼玉弁はアクセントや末尾は標準語と遜色なく、いわゆる「訛り」が少ないのが特徴です。わざわざ指摘されたり聞き返されたりすることもなく、使いやすいものばかりです。
同じ埼玉県でも、どこの影響を受けているかによって方言は変わってくる!
同じ埼玉県でも、隣接する地域の影響によって、浸透している方言が異なります。埼玉県を大きく、県北部・県南部と中央部・県西部・県北部にわけてみていきましょう。
まず「熊谷市や深谷市などがある県北部」ですが、隣接する群馬県の影響を受けています。都心に出るのにも時間がかかる地域ですので、独自の方言が育ちやすい環境です。
「県南部と中央部に位置する川越市・和光市・戸田市・鴻巣市・上尾市」などは、東京の江戸言葉の影響を受けています。小江戸川越などとも呼ばれ、古くから江戸の文化を受け継いでいる地域です。
「秩父方面の県西部」は、平野部が地域の大半をしめる埼玉県の中で、周囲を山に囲まれた場所になります。そのため独特の方言が現在も使われていたり、聞き取りにくい訛りも存在したりする地域です。
「県東部の春日部市・越谷市・草加市」あたりは、隣接の栃木県や茨城県の影響を受けています。栃木県や茨城県は訛りが強いことが知られていますが、埼玉に広まっているのは言葉のみで、訛り自体はあまりありません。
埼玉の方言クイズ!いくつわかりますか?
それでは埼玉の方言クイズを初めてみましょう。
自分の出身地域の方言や標準語と比べながら、考えてみてくださいね。ヒントも交えながら出題していきますので、想像しながら答えてみましょう。
そこにうちゃるなよー
自分自身では使っていなくても、両親や祖父母が日常的に使用しているのを聞いている埼玉県人もいるでしょう。もう少しライトに使うなら「うちゃっといて」ですね。
「うちゃる」が「捨てる」という意味になります。難易度は低めなので、正解できた方も多かったのではないですか。
おっぺすの手伝ってー
こちらも使ったり聞いたりしたことがなくても、何となく答えが想像できますね。
「おっぺす」が「押す」という意味です。止まってしまった車や農機具などを押してもらいたい時に使ったり、チャイムを鳴らすなどボタンを押す際にも使われます。
「家に着いたら、外の呼び鈴をおっぺしてくれれば良いから」「何度洗濯機のボタンおっぺしても動かないんだよ」と言った具合です。
この子むじっけー
これだけですと良い言葉なのか悪い言葉なのか、判断するのも難しい方言になりますね。
実際には、その時の場面や話し方のテンションなどでわかります。おじいちゃんおばあちゃんが、小さい子の頭を撫でながら目を細めて言うところを想像してみてください。
人間の子供だけでなく、子犬などの動物にも使われます。宮崎の方言でも「かわいい」という意味で「むじ」と言われますので、何か繋がりがあるのかもしれません。
その鍋かんましといてー
これも身振りなどがないとわからない言葉ですね!正解がわかった方は、かなりの方言通と言えます。
また群馬や新潟、そして東京でも同様の方言が使用されているので、埼玉出身でなくともわかる方もいるでしょう。
ジェスチャーヒントは、グルグル回す動作です。これでわかりましたでしょうか。
今ではお風呂は全自動のお湯はりが一般的になりましたが、まだ沸かしていた頃は熱い湯が上に、冷たい水が下にと二層に分かれてしまいました。
そのため湯かき棒でかき混ぜる必要があったのです。そのような時に「お風呂かんましといてー」と使われていました。
このおせんべいこわいー
この「こわい」という表現は、全国でも同様の方言があり、その地方によって意味合いが異なります。
ちなみに北海道や東北地方で使われる「こわい」は「つらい」と言った意味になり、「ひざがこわい」「肩がこわい」のような感じで使われます。埼玉の方言は、大阪の方言と同じです。
比較的若年層にも浸透している方言なので、本人が使用したり家族が言っているのを聞いたりすることもあるかもしれません。
「つらい」か「硬い」どちらの意味を思い浮かべるかによって出身地を特定することもできます。
今日はえらい食べるなー
こちらは簡単なクイズです、大阪出身の芸人さんがテレビで使用して、今や全国区で認知されている方言ですが、実は埼玉でも同様の意味の方言があります。
状況に応じて、意味は全く変わってしまいますが、今回は食べるにつけられた言葉です。
他にも「外にえらい人が集まっている」「えらい歩いたな」などと使用できます。
どちらかというナーバスで皮肉的な要素もあるため、たくさん食べて褒められているわけではないのを押さえておきましょう。
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埼玉の方言クイズ!怒る時に使う埼玉弁
続いては、怒った時に使う埼玉弁の方言クイズです。
怒ると感情が先にでてしまいがちですよね。そのため、普段使っていない方言が思わずでてしまうタイミングになります。子供の頃にイタズラなどをして怒られた時に聞いたこともあるのではないですか?。
言葉の雰囲気からも、答えが予想しやすいものばかりなので、想像してみてくださいね。
このいごっぱちが!
何だかかなり怒っているような言葉の雰囲気がありますので、もし言われたら驚いてしまいますよね。
「いごっぱち」は、「強情者・頑固者」といった意味があります。クイズの例題のように、聞き分けのまだできない子供を叱る時などに使います。
また「頑固者」というと、昔ながらの古い堅物気質の男性などもイメージできますよね。
埼玉の親戚が集まるようなお葬式や故人を偲ぶ場所で、年配の方が「あの人は、いごっぱちだったからなあ」と懐かしく回想して言っているのを聞く機会があるでしょう。
埼玉でも地区によっては「いんごっぱち」と発音したり、「いんご」だけで「頑固者」と表現したりすることもあります。
おだあげしてねーで仕事しろー
何となく意味は伝わるので、指示には従えそうですが、実際に「おだあげ」が何をさしているのかは難しいですよね。
基本的には「忙しいのに無駄話をしていないで早くしなさい」と言った咎める意味で使われるのですが、「暇だから無駄話ばかりしていた」という自虐的な意味で「毎日おだあげばかりだ」という表現もします。
ごくやすみから戻ったらささらほうさらになってる!
標準語と区別がつかないこともある埼玉弁ですが、そんな中でも一番理解が難しいのがこちらの方言です。埼玉独特の方言の代表として紹介されることもあるので、反対に聞いたこともあるかもしれません。
地方によっては、「さらさらほうさら」とも言われます。
そらっぺこくなよ
これは埼玉の方言に詳しくなくても、正解できる方が多いと思われます。
「ちくらっべこくなよ」とも言われるのですが、その場合は余計に難易度が高くなりますね!
実は埼玉の方言⁈一覧
ここまでは特徴的で独特な方言をご紹介しましたが、埼玉発祥で全国区になっていった方言も多々存在します。埼玉出身の方は、自分が使っている言葉が埼玉弁だと初めて知ることもあるのではないでしょうか。
また埼玉に住んだことのない人でも、いつの間にか使っている方言があるかもしれません。他の地方の人が聞いても、何をいっているのかわからないと言った言葉が少ないのが埼玉の方言の特徴です。
例文と共にご紹介していきますので、まだ使ったことのない人も、ぜひ使用してみてくださいね。
埼玉の方言「あーね」
「あーね」は、現在でも年配の方を中心に使われている方言です。
「あー、そうだねえ」という相槌を略して言ったり、「あのね」と話し始めに言ったりもします。使う際は、穏やかにゆったりとした口調で言ってみましょう。
埼玉の方言「あさっぱら」
「朝早く」と言うのを、少しくだけた表現にしただけかと思いきや、こちらも埼玉の方言です。
埼玉の方言「したっけ」
一見~した?と聞いているように見えますが、実際は「そうしたら」という意味で、文節を繋ぐ表現で用いられます。
各地で同様の方言が見られ、北海道では「さようなら」、東北では「~したら」と言う意味合いが強くなります。
埼玉の方言「なにげに」
すでに若者言葉としても浸透している「なにげに」は、元々は「何気なく・さりげなく」という意味です。
今では「思ったよりもいいよね」といった意味合いで用いられていますが、埼玉では年配の方も日常的に使う言葉です。
埼玉の方言「~じゃね?」
若者言葉のイメージが強くありますが、こちらも埼玉発祥と言われています。
念を押したり、同意を求めたりする際に語尾を上げるイントネーションで使われます。年配の方は「~だからね」といった趣旨で使っています。
埼玉の方言「そうなん?なんなん」
語尾の「の」を「ん」に言い換えている方言で、現在も当たり前のように使われていますね。
関西ですと「そうなんや?」となりますが、「や」がつかないだけで標準語と変わらない雰囲気がでてきます。
埼玉の方言「いんじゃん」
響きが可愛らしいので、若者言葉として近年使われるようになった印象のある言葉ですが、こちらも埼玉弁です。
年配の方が使う場合は、少しイントネーションが変わりますが「よいんじゃないの」という意味は同じです。
埼玉の方言「かたす」
「かたす」という方言には面白い歴史があります。意味は「片付ける」です。元々東京の多摩地区や埼玉県南部の方言でしたが、一度は衰退し1980年頃には若者は使わなくなっていた言葉でした。
それが1990年頃から埼玉を中心に再び使われ始め、ここ10年程で全国的に浸透していったのです。
「かたす」という言葉を古臭く感じるのは、空白期間である1980年~1990年頃に幼少期を過ごした世代くらいかもしれません。
自分の両親や祖母が使っていたのをリアルに聞いていたため、「かたす」が方言であることを認識していた世代ですね。
埼玉の方言「おったまげる」
高校生がバブリーダンスを動画にあげてバズったのが、2017年。
それからまるで若者言葉のように扱われている「おったまげる」ですが、改めて聞くと年配のおじさんなどが使っていそうな言葉ですね。驚きを表現する言葉として使われています。
茨城に隣接する県東部では近年の流行に関係なく、現在も使用されています。
またバブル時代も真面目に使われていたというよりも、田舎ものの口調を真似してネタにしていた要素が強くあります。
埼玉の方言でなんて言う?
最後は標準語を元に、埼玉の方言では何というのかをご紹介していきます。
現在でも話し言葉として使われていることがあるので、埼玉出身の方は家族や親戚に、埼玉出身以外の方は埼玉県民の友達に使ってみて、通じるのかどうか試してみるのも良いですね。
ありがとう
ありがとうは埼玉独特の方言でなんと言うのでしょうか。とてもおったまげるような答えを期待されたかもしれません。
これも親しい間柄や若者の間では普通に使われている言葉ですね。
挨拶
漢字で書くと「辞儀」となり、意味が伝わりやすくなります。他の地方ではあまり聞かれない、埼玉独特の方言です。「お世話になった人には、じんぎにまわるんだよ」などと言った風に使われます。
つらら
言葉の通りに「雨の棒」から来ています。埼玉県は秩父方面を除くと、平野部が多く雪が積もるのは珍しいところばかりです。
家の造りも変わり、つららができるところを見ること自体なくなってきました。そのためこの方言を聞いたことがある人は、かなり限られるはずです。
蝶々
幼児言葉から派生したものなので、現代でも小さな子に教える時は「見て!ちょちょべっこが飛んでるよ」などと使ってみるのも良いですね。
兄
少しくだけた表現のイメージで知らず知らずのうちに使っている人もいますよね。実はこれも埼玉の方言です。「あにーが、電話してくれって言ってたよ」と言った風に使われます。
とかげ
これは東京の多摩地区でも同じですが、「とかげとかまきりの区別を付けていなかった」もしくは「とかげをかまきりだと思っていた」ところが始まりです。
他の地方では単純にかまきりを「かまぎっちょ」という方言で呼んでいるため、埼玉独特の難解な方言の一つです。
これであなたも埼玉の方言通です!
最後までお読み頂きありがとうございました。すでにあなたは、埼玉の方言通になっています!
面白い方言もありますが、標準語に混ぜても違和感のないフレーズも多くありますね。
「かたす」や「おったまげる」のように、再び流行になり全国区で使われる方言も、まだまだでてくるかもしれません。ぜひ実際に活用もしてみてくださいね。
生まれも育ちも所沢、埼玉愛強めのライター。カフェでまったりも、外でアクティブに遊ぶのも、どちらも大好きです!