埼玉県の中部に位置する吉見町は、緑豊かな自然に囲まれています。
そして吉見町を代表する観光名所といえば、国の史跡にも指定されている吉見百穴です。吉見百穴周辺には、歴史あるお寺があり、多くの人たちが訪れています。
また、八丁湖のウォーキングコースでは、季節ごとに変わる美しい景色を見ることができます。
今回の記事では、吉見百穴や周辺名所、名物グルメが楽しめるお店をご紹介します。
※掲載内容は執筆当時のものです。最新情報は事前にご確認ください。
【吉見町の名所を巡ろう!】
最初に、吉見町の名所をご紹介します。
自然豊かな吉見町には、静かで落ち着く観光スポットがたくさんあります。
吉見百穴
まずは「吉見百穴」をご紹介します。東武東上線・東松山駅からバスで「百穴入口」下車、徒歩で7分ほどの場所にあります。
国の史跡にも指定されている「吉見百穴」は、古墳時代末期に作られた横穴墓群です。
現在確認されている横穴の数は、219基あります。
百穴の辺りは、掘削に適している「凝灰質砂岩」という岩盤が広がっています。
そのため、当時この場所に横穴墓を作ったと考えられています。
明治20年に「吉見百穴」の発掘調査が行われましたが、わずかな出土品と写真だけしか残っていませんでした。吉見百穴に見られる横穴墓は、古墳時代後期に造られた古墳の石室構造と同じです。
横穴の壁際には、2つの段が作られており、複数の人が葬られていることを示しています。横穴墓の入り口には、「緑泥石片岩」という石の蓋が立てかけられていました。
このことから、再び石室内に入ることが可能であり、追葬を前提として造られたと考えられます。
古墳時代初期は、権力者が葬られている大規模な古墳が造られていました。
その後、横穴式石室構造が伝来して、古墳時代後期には、吉見百穴のような横穴墓に変遷していったと伝えられています。吉見百穴が造られはじめたのは、西暦593年ごろの仏教伝来と同じ時期です。
やがて大化の改新が行われ、古墳の造営を禁止する法律が制定されました。こうして吉見百穴は、日本社会が大きく変化する時代の象徴として残されています。
さらに吉見百穴は、国の天然記念物に指定されている「ヒカリゴケ」が生息していることでも有名です。
植物学上、関東平野に生息することが珍しい「ヒカリゴケ」は、黄緑色の光を放っているように見えることから名付けられました。
吉見百穴の横穴墓の中は、ヒカリゴケの生息に必要な一定の気温と湿度が保たれているため、自生していると考えられます。
また、吉見百穴には、昭和19年に造られた「地下軍需工場」跡が見つかっていますが、現在は立ち入り禁止です。
岩殿山(安楽寺)
「岩殿山(安楽寺)」は、坂東11番の札所で「吉見観音」の名で親しまれています。
吉見百穴から徒歩で約28分の場所にあります。境内正面に安楽寺本堂、右側に大仏様が鎮座しています。木々の間からは、朱塗りの三重塔が見えます。
安楽寺は、今から1200年前、聖武天皇の勅命を受けた行基菩薩が、観世音菩薩の像をこの地の岩崖に納めたことがはじまりです。
その後、坂上田村麻呂によって本堂が建立されましたが、北条氏との戦いで消失、現在の本堂は、寛文元年に再建されたと伝えられています。
典型的な五間堂の平面を持ち、内部に施された華麗な装飾も江戸時代前期の様式を保っています。
安楽寺の「三重塔」は、約380年前に源範頼によって建築され、本堂や仁王門、大仏の中で最も古いです。高さ約24.3mの塔全体は、各重の面積のバランスがよいため安定感があります。
安楽寺・仁王像の建立は、元禄15年と伝えられています。
平成8年から10年にかけて行われた解体修理の際、建立時の寄進者の名が書かれた板が11枚も発見されました。
現在、安楽寺本堂・三重塔・仁王門が「埼玉県指定文化財」、仁王像が「吉見町指定文化財」に登録されています。
毎年6月18日は、「厄除け朝観音御開帳」が行われており、深夜2時ころから早朝にかけて賑わっています。
息障院(伝範頼館跡)そくしょういん(でんのりよりやかたあと)
続いては、「息障院(伝範頼館跡)」をご紹介します。関越道・東松山ICから車で20分ほどの場所にあります。
また、吉見百穴から徒歩で約33分、安楽寺からは徒歩で14分ほどです。吉見御所内の「息障院」一帯は、かつて源頼朝の弟・範頼の居館跡だったと伝えられています。
源範頼が平治の乱後、岩殿山に逃げ込み、比企氏のもとで成長したと考えられています。
さらに、兄の源頼朝も、鎌倉で勢力を得た後吉見に住んでいたという説があり、館を中心とした一帯が御所と呼ばれるようになりました。
息障院の周囲には、範頼の館が建立された時に作られた堀の一部が残っています。
息障院には、絵画や彫刻、書籍が残されており、その中の「不動明王坐像」は、県内最古の不動明王で、県の文化財に指定されています。
像高81.6㎝の坐像は、右手に剣、左手に羂索(けんさく)を持っています。12世紀頃の中央仏師作と考えられ、穏やかで繊細な衣紋や形相が特徴です。
また、吉見町指定文化財に登録されている「仏説大乗造像功徳経」は、1159年に鳥羽上皇の冥福を祈って書き記されたと伝えられています。
八丁湖
続いて「八丁湖」をご紹介します。吉見百穴の近くにある「八丁湖」は、農業のために作られた人工の湖です。
八丁湖の周囲は、1600mのウォーキングコースがあります。自然に囲まれた遊歩道を歩くと、野鳥のさえずりや植物に癒されます。3月~4月には、八丁湖沿いに桜が咲き、6月は紫陽花で彩られています。
さらに、秋には美しい紅葉がライトアップされる「八丁湖ヒーリングナイト」が行われています。
四季折々の景色を眺めながら、のんびりと八丁湖周辺を散策すると、穏やかな気持ちになりそうですね。
そして、八丁湖から奥に進むと、「黒岩横穴墓群」という遺跡があります。
「黒岩横穴群」は、吉見百穴と同じく、古墳時代末期の横穴墓です。
斜面には、16基の横穴墓が確認できます。八丁湖一帯では未発掘や埋没を含め、およそ500基の横穴墓があると推定されています。
【名所周辺のおすすめグルメ情報】
続いて、名所周辺で楽しめるグルメ情報をご紹介します。
吉見町には、地元の人たちにも親しまれている昔ながらのお店や人気のうどん屋さん、パン屋さんがあります。
百穴名物そばと味噌おでん「高橋売店」
はじめに、「高橋売店」をご紹介します。
「高橋売店」は、吉見百穴の敷地内にあり、昭和30年代から続く食堂です。店主は2代目で、奥様のお父様からお店を受け継いできました。
百穴名物のそばは、北海道産のそば粉を使った、店主お手製の手打ちそばです。本格的な二八そばは、カツオ出汁が効いたおつゆと相性抜群!
さらに、夏には、そばつゆを冷汁でいただくことができます。もう一つの名物グルメは、先代の味を受け継ぐ「味噌おでん」です。
赤味噌をベースにした甘めの味噌だれは、創業以来変わらぬ味を守ってきました。
そして、「高橋売店」の名物お菓子「五家宝」もおすすめです。「五家宝」とは、もち米を蒸して棒状にしたものに、きな粉をまぶした和菓子です。
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五家宝は、草加せんべい・川越の芋菓子と並ぶ埼玉県の三大銘菓として知られています。
「高橋売店」の五家宝は、サクッとしたもち米のポン菓子に、水飴を絡めて作っています。定番のきなこはもちろん、抹茶・チョコ・オレンジ・クランベリーなど様々な風味の五家宝が楽しめます。
お土産売り場では、「手作り五家宝」や「ねぎみそせんべい」が販売されていて、多くの観光客の方に喜ばれています。
吉見百穴を眺めながら、お食事が楽しめる「高橋売店」、ぜひ一度お立ち寄りください。
厄除けだんご どびんや
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続いて「厄除けだんご どびんや」をご紹介します。
東武東上線・東松山駅から徒歩で60分かかりますが、吉見町循環バスを利用することもできます。吉見町循環バスは、各コース「吉見観音」で下車してください。
安楽寺の参道にある「厄除けだんご どびんや」は、古くから参拝客に「厄除けだんご」を振る舞ってきました。
その「厄除けだんご どびんや」では、昔ながらのお団子をはじめ、手打ちうどんやおでんがいただけます。名物の「厄除け団子」は、地元のお米を使用した、歯ごたえがある香ばしい風味で人気を集めています。
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あん団子は、焼いていない米粉の団子に、粒あんがたっぷりとかかっています。
この昔ながらのあん団子は、どこか懐かしさを感じると、多くの人に好まれています。他にしょうゆ団子・のり・柚子みそ・あまからのお団子が楽しめます。
また、お食事を楽しみたい方には「肉汁うどん」がおすすめです。手打ちで優しい柔らかさのうどんと、豚肉・えのき・玉ねぎがたっぷり入った肉汁がよく合います。
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晴れた日には、外のテラス席を利用することも可能です。
安楽寺参拝のあとは、「厄除けだんご どびんや」でお食事を楽しんでください!
名代 四方吉(よもきち)うどん
続いて、吉見町の人気店「名代 四方吉うどん」をご紹介します。
「名代 四方吉うどん」吉見本店は、荒川サイクリングロード近くにあります。ペット同伴可能なテラス席もあり、多くのお客さんに喜ばれています。
また、東松山ICから車で2分ほどの場所に「名代 四方吉うどん 東松山店」があります。「名代四方吉うどん」の人気メニューは、「肉汁あぶらみそうどん」です。
豚肉とネギがたっぷり入っている味噌ベースのつけ汁は絶品で、リピーターさんが多く人気を集めています。うどんは、小(400g)・並(600g)・中(800g)・大(1㎏)・特(1.2㎏)から選択できます。
さらに、金・土・日限定のメニュー「鳥塩うどん」もおすすめですよ!
塩ベースのつけ汁には、相性抜群の鶏肉とネギがたっぷり入っています。こちらもリピーターさんが多い人気メニューです。
「鬼盛りセット」や「富士山セット」という、大人数でシェアできるボリューム満点のメニューもあります。サイドメニューは、「元祖にんにくきんぴら」や天ぷらなどが好まれています。
また、「肉汁うどん」や「きのこ汁うどん」、「もりうどん」はお持ち帰りも可能です。
自宅で「名代 四方吉うどん」を楽しみたい方に、ぴったりのメニューですね。
ブロンジェリー風の杜
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続いて「ブロンジェリー風の杜」をご紹介します。
「ブロンジェリー風の杜」は、東武東上線・東松山駅から、徒歩で56分ほどの高台の住宅街にあります。「ブロンジェリー風の杜」では、自然酵母無添加パンが人気を集めています。
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「フランスパン」は、国産小麦と自家製酵母、自然塩で仕上げた食事パンです。黒ごま入りのフランスパンもあります。
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旬の野菜を使った「有機野菜ピザ」は、「ブロンジェリー風の杜」がおすすめする絶品パンです。
パリパリの生地と自家製有機トマトソースやバジル、イタリアンパセリやカラーピーマンの風味が美味しく、多くのお客さんに好まれています。
また、地元の有機農家の無農薬大豆を使用した「きな粉パン」も人気商品です。
自然に囲まれた吉見町には、お散歩やピクニックが楽しめる公園がありますので、「ブロンジェリー風の杜」に立ち寄ってからお出かけしてもよいですね。
晴れて気持ちがいい日に外で食べるパンは、より美味しく感じると思いますよ。
自然に囲まれた吉見町の名所や名物グルメを楽しもう!
今回の記事では、吉見百穴をはじめ、周辺の名所やグルメが楽しめるお店を紹介しました。
吉見百穴周辺は、自然に囲まれた寺院やウォーキングコースがあります。
歴史に触れながら巡る観光名所や、地元の名物グルメが楽しめる吉見町に、ぜひ行ってみてください!
埼玉県を楽しむ為のおすすめグルメ情報をはじめ、埼玉県民も知らなかった目からウロコの情報をお届けします。